概 要
2023年は例年にも増して衆目を集める企業不祥事が頻発し、企業のガバナンス体制、内部統制システムが問われる年になりました。また、アクティビスト株主による積極的な活動が拡大し、「企業買収における行動指針」の策定を受けた同意なき企業買収事例も生じました。さらに、企業は、喫緊の課題として資本コストを意識した経営の実現が求められるとともに、気候変動問題対応や人的資本経営、サプライチェーンにおける人権問題などのサステナビリティ課題に対処する経営を実現することに注力することも要請されています。
それらを踏まえつつ役職員の判断や行動規範の基礎となり、適正なコーポレートガバナンス体制を実現して、社会から信頼される企業運営をしていくためには、会社法や法務省令や各種ガイドライン等を十分に理解し、それを実務に反映し、実践していくことが必要です。
それを支える企業法務の実務家は、会社法令やコーポレートガバナンス・コード等の原則的な理解を確実なものとし、経営の基本方針の決定、株主総会や取締役会などの機関運営、役員報酬体系の見直し、独立社外役員の活用やダイバーシティの進展、任意の委員会の設置・運用、「もの言う株主」への対応などを通じた企業価値向上のための実践が必要であり、「会社法」やそれに関連する各種の規律を十全に使いこなすことが必要不可欠です。
本講座では、「会社法」の基本原則・法理とそれらに裏打ちされた基礎概念を確認した上で、「会社法」が定める各制度の立法趣旨や内容を立体的に把握するのみならず、それらを実務に即して理解して頂けるよう、実務の第一線に立つ方々を対象に、5回にわたってコンパクトに、近時のトピックスなどにも触れながら、体系的かつ平易に解説いたします。
なお、原則として下記の日程順で進行する予定ですが、講義の進行の関係上、一部次回日程にずれ込む等の変更の可能性がありますので、予めご承知おきください。
講 義 項 目
<第1日目> 第1編 総 論 第1章 会社法の基本的原理と基礎的概念 第1節 総 説 (1)会社法の法源 (2)会社法の基本目的 (3)会社法における[会社] 第2節 会社の基本的概念:営利・社団・法人性 第2章 各種の会社 第1節 会社法における会社の種類 第2節 各種の会社の異同とそのメルクマール (1)社員権の基本的な内容(会社構成員の地位等) (2)各種会社を区分するメルクマール 第3節 持分会社とは 第4節 合同会社の特徴 第5節 会社法総則 第2編 株式会社 第1章 株式会社の基礎理論 第1節 株式会社「制度」の中核 第2節 株式会社「制度」を支える基本原則とその修正 (1)所有と経営の分離 (2)資本多数決の原理 (3)投下資本回収の保障 (4)資金調達の機動性の確保 (5)コーポレート・ガバナンス 第3節 会社法制定に至るまでの法改正の経過(概要) 第4節 会社法の構造(条文構成) 第5節 会社法の基礎概念:各種定義規定 第6節 各種ソフトロー、指針等について 第2章 設 立 第1節 設立に関する基本概念 (1)設立制度の基本的構造 (2)設立についての諸問題 ~最低資本金制度の撤廃等・現物出資・払込等 第2節 設立手続の瑕疵と設立に関する責任 (1)設立手続の瑕疵とその効果 (2)設立に関する責任の内容 <第2日目> 第3章 株式・新株予約権・新株予約権付社債 第1節 株式総説 (1)「株式」制度の意義と内容 (2)株式の種類 (3)株式の単位 第2節 株主による権利行使:株主名簿制度と株主の確定 cf.基準日制度の意義と問題点など:コロナ下の株主総会問題 第3節 株式の譲渡 (1)株式譲渡の自由 (2)株券 (3)株式の譲渡制限 第4節 自己株式の取得 (1)自己取得制度の意義 (2)会社法における自己株取得規制 第5節 株式の消却・分割・無償割当て・併合 第6節 特別支配株主の株式等売渡請求制度 第7節 募集株式の発行 ※役員報酬としての募集株式発行の特例 第8節 株券を巡る諸制度 第9節 新株予約権とストック・オプション 第10節 新株予約権付社債 第11節 敵対的買収防衛策の概要と評価 <第3日目> 第4章 機 関 第1節 総 説 (1)株式会社の機関とは (2)各機関の分化と相互関係 (3)会社法における多様な機関構成(定款自治の拡大) 第2節 株主総会 (1)株主総会の意義と権限分配 (2)株主総会の理念と現実 コーポレートガバナンス・コード、スチュワードシップ・コードの影響 (3)株主総会の地位・内容等(株主総会の決議事項を中心に) (4)議決権の本質(株主の議決権行使の制限) (5)株主総会の手続 ・電子提供制度・議決権行使書面等の閲覧・謄写 ・株主提案権の濫用的行使制限 (6)株主総会決議の瑕疵 (7)少数株主権の内容 (8)指名委員会等設置会社・監査等委員会設置会社における株主総会 (9)株主総会の実務対応:株主総会参考書類 事業報告 計算書類等 (10)災害と株主総会 <補足> 感染症と株主総会対応 <第4日目> 第3節 取締役・代表取締役・取締役会・委員会・監査等委員会・執行役 ~会社法における業務の決定・執行機関 (1)各機関の意義と関係 (2)取締役会制度の概要:資格・選解任・任期等 ※社外取締役の義務付け・活用 (3)業務執行・代表機関 (4)取締役会:権限・手続・決議方法・決議の瑕疵 (5)取締役と会社の関係:競業取引規制・利益相反取引規制・報酬規制 (6)取締役の責任 (7)取締役の責任追及訴訟(多重代表訴訟等を含む) ※会社補償・役員等賠償責任保険 (8)監査等委員会設置会社 (9)指名委員会等設置会社 第4節 監査役・監査役会・会計監査人・会計参与~会社法における監査・監視機関 (1)各種機関の意義 (2)監査役等の選解任・地位・資格・権限等 (3)監査役会の権限・手続等 (4)会計監査人 (5)会計参与 <第5日目> 第5章 会社の資金調達・計算 第1節 資金調達:株式と社債(エクイティとデット) ※社債管理補助者制度 第2節 特殊な社債 第3節 会社の計算 (1)計算書類とは:財務内容の開示 (2)計算書類の作成・監査・承認 (3)計算書類の内容:資本および準備金(適正な財産確保の前提) (4)剰余金分配規制 (5)分配可能額の計算 :適正な会社財産の確保 (6)違法配当とその責任 第6章 企業再編 第1節 会社法の組織再編規制の概要 第2節 組織再編の「対価の柔軟化 」 第3節 簡易な組織再編手続 第4節 組織変更 第5節 事業譲渡 第6節 合併 第7節 会社分割 第8節 株式交換と株式移転 第7章 解散と清算 第1節 解散・清算手続の概要 第2節 特別清算手続の意義と内容 第8章 会社を巡る訴訟・非訟・登記・公告 (1) 訴訟・非訟 (2) 登記 第9章 会社法上の犯罪等 第1節 特別背任罪等 第2節 登記懈怠等に対する制裁 |
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要 項
第1回 7月18日(木) | 第4回 7月29日(月) |
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第2回 7月22日(月) | 第5回 7月31日(水) |
第3回 7月25日(木) |
弁 護 士 (明哲綜合法律事務所パートナー) 武 井 洋 一 氏 |
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各日とも 13:30 ~ 17:00 まで |
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産業経理協会ビル 2階 講義室 住所:東京都千代田区神田淡路町1-15-6 >>>地図はこちらをご参照ください 電話:03-3253-0361 |
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テキストは受付でお渡しいたしますが、会社法条文参照用として「ポケット六法」または「コンパクト六法」等を毎回ご持参いただくと、より効果的にご受講いただけます。 |
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49,500円(税込)(非賛助会員1名につき) 46,200円(税込)(当協会普通賛助会員1名につき) 42,900円(税込)(当協会正賛助会員1名、 当協会特別賛助会員2人目から1名につき) 無 料 (当協会特別賛助会員1名) |
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ダウンロードした申込書をプリントしていただき、必要事項をご記入の上、FAXにてご送信下さい。 【連絡先】一般財団法人 産業経理協会 |
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