概 要
戦後80年という節目の年を迎えた本年もすでに2か月半が経過しました。昨年11月に行われた米国大統領選挙では、共和党のトランプ氏が接線州すべてを制し、また総得票数でも民主党候補を上回るという結果に終わり、1月には第2次トランプ政権が発足しています。実際に就任直後から、いわゆる「トランプ2.0」が次々に具体化し、「パリ協定」からの離脱やWHOからの脱退など多くの大統領令に署名し、前政権の政策を否定し公約実現に突き進んでいます。その姿勢は「米国第一主義」を具体化するためとしながらも世界全体に大きな影響を与えるものとなっています。また、当初メキシコ、カナダ、中国に対して関税を課す旨表明していましたが、すべての国に一律に関税を課すとの発言もあり、その結果は米国のインフレ圧力を生じさせるだけではなく金利上昇による米国の成長率低下を招き、また、各国が報復関税を発動した場合、その影響は米国経済だけでなく世界各国の対米輸出の減少というかたちで世界経済全体の成長を抑制することが懸念されます。
また、3年目に突入したロシア・ウクライナ戦争に関しては、トランプ大統領が調停に乗り出す姿勢を見せている一方で、EU特別首脳会議で「再軍備計画」が議論されウクライナ支援のさらなる強化に向けた動きもみられます。一部ではウクライナが米国との関係修復を優先すべく「部分的停戦」を提案するとの報道が上がるなど、先行きは不確実なものとなっています。
さらに中国経済を見てみると、3月5日に開幕した全国人民代表大会で、実質GDP成長率目標を昨年と同水準の5%前後を目指すとし、そのためには低迷する経済回復に民営企業支援が必要と「民営経済促進法」を年内に制定する方針ですが、依然不動産市場は低迷しており、加えてトランプ政権の追加関税が中国経済の下押し要因となることが懸念されるため計画を達成することは難しいとする向きもあります。
一方、わが国の情勢としては、昨年10月に石破内閣が新たに発足し、その直後に行われた衆議院選挙では「政治とカネ」の問題を受けて大敗し、与党過半数割れという少数与党に転落する結果となっています。本年6月には東京都議会議員選挙、今夏7月には参議院議員選挙が予定されており、それらの結果如何によっては政局が激動する事態となることも考えられます。また2025年はいわゆる「団塊の世代」全員が後期高齢者入りすることによる年金・医療・介護といった社会保障制度など日本の経済・社会に関する様々な課題が発生することが予想されます。
今回も上述の国内の政治・経済の動向、アメリカ、中国、ヨーロッパ情勢を中心にグローバルリスクを念頭におきつつ、将来をいかに展望するかという問題意識のもと、多面的な捉え方が可能となるよう、適時最適任の講師をお招きし、皆様のご要望に沿うテーマ・内容を心掛けた企画・運営を進める所存でございます。何卒多数の皆様のご参加を賜りますようお待ち申し上げる次第でございます。