経済時事講座

 第128回

概 要

 戦後80年という節目の年を迎えた本年もすでに2か月半が経過しました。昨年11月に行われた米国大統領選挙では、共和党のトランプ氏が接線州すべてを制し、また総得票数でも民主党候補を上回るという結果に終わり、1月には第2次トランプ政権が発足しています。実際に就任直後から、いわゆる「トランプ2.0」が次々に具体化し、「パリ協定」からの離脱やWHOからの脱退など多くの大統領令に署名し、前政権の政策を否定し公約実現に突き進んでいます。その姿勢は「米国第一主義」を具体化するためとしながらも世界全体に大きな影響を与えるものとなっています。また、当初メキシコ、カナダ、中国に対して関税を課す旨表明していましたが、すべての国に一律に関税を課すとの発言もあり、その結果は米国のインフレ圧力を生じさせるだけではなく金利上昇による米国の成長率低下を招き、また、各国が報復関税を発動した場合、その影響は米国経済だけでなく世界各国の対米輸出の減少というかたちで世界経済全体の成長を抑制することが懸念されます。
 また、3年目に突入したロシア・ウクライナ戦争に関しては、トランプ大統領が調停に乗り出す姿勢を見せている一方で、EU特別首脳会議で「再軍備計画」が議論されウクライナ支援のさらなる強化に向けた動きもみられます。一部ではウクライナが米国との関係修復を優先すべく「部分的停戦」を提案するとの報道が上がるなど、先行きは不確実なものとなっています。
 さらに中国経済を見てみると、3月5日に開幕した全国人民代表大会で、実質GDP成長率目標を昨年と同水準の5%前後を目指すとし、そのためには低迷する経済回復に民営企業支援が必要と「民営経済促進法」を年内に制定する方針ですが、依然不動産市場は低迷しており、加えてトランプ政権の追加関税が中国経済の下押し要因となることが懸念されるため計画を達成することは難しいとする向きもあります。
 一方、わが国の情勢としては、昨年10月に石破内閣が新たに発足し、その直後に行われた衆議院選挙では「政治とカネ」の問題を受けて大敗し、与党過半数割れという少数与党に転落する結果となっています。本年6月には東京都議会議員選挙、今夏7月には参議院議員選挙が予定されており、それらの結果如何によっては政局が激動する事態となることも考えられます。また2025年はいわゆる「団塊の世代」全員が後期高齢者入りすることによる年金・医療・介護といった社会保障制度など日本の経済・社会に関する様々な課題が発生することが予想されます。
 今回も上述の国内の政治・経済の動向、アメリカ、中国、ヨーロッパ情勢を中心にグローバルリスクを念頭におきつつ、将来をいかに展望するかという問題意識のもと、多面的な捉え方が可能となるよう、適時最適任の講師をお招きし、皆様のご要望に沿うテーマ・内容を心掛けた企画・運営を進める所存でございます。何卒多数の皆様のご参加を賜りますようお待ち申し上げる次第でございます。

経済時事講座 テーマ例

メンバーの皆様の意向に副いながら、時宜を得たテーマを柔軟に設定いたします。
以下に、ご参考として、前年度実施したテーマ並びに講師を掲載いたします。

  
日米のトップが代わる中での今後の経済の行方 明治安田総合研究所
フェロー チーフエコノミスト
小 玉 祐 一 氏
解散総選挙後の日本政治 朝日新聞社 政治部長
松 田 京 平 氏
ガザ紛争と揺れ動く中東情勢 東京大学中東地域研究センター 特任准教授
鈴 木 啓 之 氏
セブン&アイなど日本企業に対する海外からの買収提案はこれからどうなるのか? 百年コンサルティング 代表取締役
鈴 木 貴 博 氏
中国経済の変化・問題点及び日中経済関係 帝京大学冲永総合研究所 特任教授
郭   四 志 氏
2025年度の日本経済見通し ニッセイ基礎研究所 経済研究部経済調査部長
斎 藤 太 郎 氏
生成AIの進展と日本のAI戦略 松尾研究所 取締役経営戦略本部ディレクター
    金融庁金融研究センター特別研究員
金   剛 洙 氏
第二次トランプ政権の経済・安保政策 明海大学外国語学部教授
日本国際問題研究所主任研究員
小 谷 哲 男 氏
税・保険料一体改革
-年収の壁を壊すために-
明治大学公共政策大学院
ガバナンス研究科教授
田 中 秀 明 氏
EU経済の構造的諸課題と対応策 千葉商科大学商経学部准教授
中 尾 将 人 氏
インフラモニタリングの最前線
-透視技術が変える未来-
東京大学生産技術研究所准教授
水 谷   司 氏
どうなる?日米経済・株式市場 ソニーフィナンシャルグループ金融市場調査部長
兼調査課長シニアエコノミスト
渡 辺 浩 志 氏

要 項

期  間
【前期】毎年4月より同年9月までの半年間、全12回開催
 【後期】毎年10月より翌年3月までの半年間、全12回開催
時  間
14:00 ~ 16:00(開場13:30)
(解  説) 14:00 ~ 15:20
(質疑応答) 15:20 ~ 16:00
会  場
産業経理協会 2階
住所:東京都千代田神田淡路町1-15-6
電話:03-3253-0361
参 加 費

     104,500円(税込)(非賛助会員1口につき)
     99,000円(税込)(当協会普通賛助会員1口につき)
     88,000円(税込)(当協会正賛助会員1口、本会の継続1口及び特別賛助会員2口目につき)
        無料(税込)(当協会特別賛助会員1口)
                     ※1口につき毎回3名までご出席いただけます。

お申込およびご連絡先

ダウンロードした申込書をプリントしていただき、必要事項をご記入の上、FAXにてご送信下さい。
>>>お申込書(PDF)ダウンロード(2025.4月~2025.9月開催分)

【連絡先】一般財団法人 産業経理協会
住所:東京都千代田区神田淡路町1-15-6
電話:03-3253-0361

資  料


当日受付にてお渡しいたします 。