「会社法務実務研究会」は、平成7年(1995年)1月に発足し、毎回盛会のうちに開催を重ね、令和6年(2025年)は31年目を迎えることとなりました。創立83年を迎えた伝統ある産業経理協会の歴史の中で、「会社法務実務研究会」が30年の永きにわたり継続できましたことは、偏に皆様方の熱心なご支援のおかげと感謝しております。幸い毎年多くの会社のご参加をいただき、毎回私どもが研究している種々の問題点についての発表に際し、有益なご質問等をいただくことで貴重な問題点、関心の対象を知ることができ、大変有意義な研究会として継続できましたことに対し、深く感謝申し上げます。
さて、2024年は株主総会資料の電子提供制度が実施2年目を迎えたほか、株主による議決権行使の実質化が進み、機関投資家の動向の分析をふまえ、ガバナンスの強化や情報開示の充実など、来年に向けて実務運用上の課題が引続き残されています。また、コーポレート・ガバナンスへの取組みとして、取締役会や各種委員会等の実効性などが重要課題として論議されるとともに、気候変動リスクや人的資本などサステナビリティを意識した経営が求められており、2025年はコーポレート・ガバナンスのさらなる取り組みが求められると思われます。その他、M&Aの動向、金融商品取引法上の規制、独占禁止法の運用などについても検討を要する問題点が数多く生じています。
31年度を迎える本研究会では、コーポレート・ガバナンスの現状と主要課題を検討し、また株主総会に関して、今年の基本的留意事項、運営実務全般のほか、株主提案の動向、監査を取り上げるほか、業務執行の各類型における取締役の責任、企業のリスクマネジメント、独占禁止法、金融商品取引法、M&Aに関する問題点等について実務的観点から検討いたします。
本研究会の四半世紀以上にわたる実績を踏まえ、31年度も本研究会の更なる充実を図りますので、これまで以上に多くの企業関係者のご参加をいただきたく、切にお願い申し上げるとともに、この研究会を続けることで会社法務につき企業関係者と私どもの実りある共同研究の場となることを祈念しております。