経済時事講座

 第124回

概 要

 ロシア・ウクライナ戦争は、その後の西側先進諸国によるロシアに対する経済制裁がなされながらも、未だ終息の兆しは見えず、それどころかアメリカ、EUなどからウクライナに対して新たな軍備供与が行われ、停戦に向けた動きが一向に見られません。これに対するロシアは、戦略核兵器使用を言及するなど、その深刻化、長期化が一層懸念される事態となっており、その間もエネルギー価格、穀物価格の高騰は続くなど、現在も世界経済には深刻な影響が及んでいるところです。
 日本国内においては、長引くコロナ禍にあって、5月8日には感染症法上の位置づけを季節性インフルエンザなどと同じ「5類」への移行が予定されており、今後は徐々にかつての「日常」が戻る期待感も漂い始めています。その一方で、一時151円台を付けるなどした円安の進行により、輸入価格の上昇に伴う国内物価上昇の影響も無視できず、今後も日米の金利差の拡大が想定されるなか、4月にはアベノミクスのもと、異次元の金融緩和政策を約10年にわたって推し進めてきた黒田日銀体制が終焉し、新たに植田和男新総裁が就任します。これにより、いわゆるポスト黒田路線はどこに向かうのか、すなわち、これまで堅持してきた金融緩和の路線を維持していくのか、修正に舵を切るのかにより、日本経済の先行きは大きく異なることになりそうです。また、政治面では4月には統一地方選挙、5月にはG7広島サミットが開催され、統一地方選挙の結果によっては岸田総理の解散・総選挙の時期の判断など今後の政局に影響を与えるものと見られるところです。
 世界の政治・経済に目を転じてみれば、米国での昨年の中間選挙では、民主党が想定外に善戦したものの、共和党が下院を制する「ねじれ議会」となっており、経済面では高インフレと高金利は今後も続くとみられ、成長を下支えしてきた消費が弱含みに推移し、景気は後退局面を迎えるという見方もあります。中国経済においても、ゼロコロナ政策の解除を機に、控えてきた消費活動を再開するなど回復局面入りし、経済活動の正常化が進む半面で、不動産市場の低迷など、サービス以外の需要には脆弱さが残るなど、その勢いを削ぐリスクに注意を払う必要あります。欧州では、ウクライナ情勢などに起因する高インフレやエネルギー制約による金融引き締めの影響を受け、その回復は緩慢なものとなる見通しであり、ロシア・ウクライナ戦争に関しては第三の立場をとるインドなどグローバルサウスの動向にも目を離すことはできません。
 今回も上述のような国内の政治・経済の諸動向、アメリカ、中国を中心にグローバルリスクを念頭におきつつ、将来をいかに展望するかという問題意識のもと、多面的な捉え方が可能となるよう、適時最適任の講師をお招きし、皆様のご要望に沿うテーマ・内容を心掛けた企画・運営を進める所存でございます。何卒多数の皆様のご参加を賜りますようお待ち申し上げる次第でございます。

経済時事講座 テーマ例

メンバーの皆様の意向に副いながら、時宜を得たテーマを柔軟に設定いたします。
以下に、ご参考として、前年度実施したテーマ並びに講師を掲載いたします。

  
自民党政権復活10年の日本政治
―どこへ向かうか2年目の岸田文雄首相
作家・評論家  塩 田   潮 氏
2040年までの内外経済見通し
~高インフレ環境の今後~
第一生命経済研究所経済調査部
主任エコノミスト 星 野 卓 也 氏
米中間選挙後の国際情勢を読む 双日総合研究所 チーフエコノミスト
  吉 崎 達 彦 氏
財政・社会保障の現状と課題 法政大学経済学部教授  小 黒 一 正 氏
2023年欧州経済・政治の注目点 ニッセイ基礎研究所 経済研究部 研究理事
伊 藤 さゆり 氏
今後の政局展望 毎日新聞 政治部長  中 田 卓 二 氏
2023年為替相場見通し JPモルガン・チェース銀行 市場調査本部長
佐々木   融 氏
習近平一強の中国はどこに向かうのか?
~政治・経済の注目点と中国経済見通し~
大和総研 経済調査部主席研究員
  齋 藤 尚 登 氏
原子力政策は本当に転換したか? 国際大学副学長大学院国際経営学研究科教授
  橘 川 武 郎 氏
労働移動と賃上げを考える
―労使関係の視点から
立教大学経済学部教授  首 藤 若 菜 氏
日銀総裁交代をめぐる今後の政策運営 時事通信社 解説委員  窪 園 博 俊 氏
2023年国内株式市場の展望 いちよしアセットマネジメント 取締役・CIO
  秋 野 充 成 氏

要 項

期  間
【前期】毎年4月より同年9月までの半年間、全12回開催
 【後期】毎年10月より翌年3月までの半年間、全12回開催
時  間
14:00 ~ 16:00(開場13:30)
(解  説) 14:00 ~ 15:20
(質疑応答) 15:20 ~ 16:00
会  場
産業経理協会 2階
住所:東京都千代田神田淡路町1-15-6
電話:03-3253-0361
参 加 費

     104,500円(税込)(非賛助会員1口につき)
     99,000円(税込)(当協会普通賛助会員1口につき)
     88,000円(税込)(当協会正賛助会員1口、本会の継続1口及び特別賛助会員2口目につき)
        無料(税込)(当協会特別賛助会員1口)
                     ※1口につき毎回3名までご出席いただけます。

お申込およびご連絡先

ダウンロードした申込書をプリントしていただき、必要事項をご記入の上、FAXにてご送信下さい。
>>>お申込書(PDF)ダウンロード(2023.4月~2023.9月開催分)

【連絡先】一般財団法人 産業経理協会
住所:東京都千代田区神田淡路町1-15-6
電話:03-3253-0361

資  料


当日受付にてお渡しいたします 。