一般財団法人産業経理協会の「会社法務実務研究会」は、平成7年(1995年)1月に発足し、毎回盛会のうちに開催を重ね、令和6年(2024年)は30年目を迎えることとなりました。創立84年を迎えた伝統ある産業経理協会の歴史の中で、「会社法務実務研究会」が30年の永きにわたり継続できましたことは、偏に皆様方の熱心なご支援のおかげと感謝しております。幸い毎年多くの会社のご参加をいただき、毎回私どもが研究している種々の問題点についての発表に際し、有益なご質問等をいただくことで貴重な問題点、関心の対象を知ることができ、大変有意義な研究会として継続できましたことに対し、深く感謝申し上げます。
さて、2023年は令和元年改正会社法による株主総会資料の電子提供制度が3月開催の総会から本格的に実施され、滞りなく運用されてはいますが、来年に向けて実務運用上の課題が残されていると思われます。また、コーポレート・ガバナンスへの取組みについては、取締役会の機能発揮、そのための社外取締役の役割の深化が重要課題として論議されるとともに、気候変動リスクや人的資本重視の経営などサステナビリティに係る開示制度が強化されており、2024年はコーポレート・ガバナンスに新たな視点での取り組みが求められると思われます。その他、M&Aの動向、金融商品取引法上の規制、独占禁止法の運用などについても検討を要する問題点が数多く生じています。
第30年度を迎える本研究会では、コーポレート・ガバナンスの現状と主要課題を検討し、また株主総会に関して、今年の基本的留意事項、株主提案の動向、機関設計の考え方、運営実務を取り上げるほか、代表訴訟をめぐる各種の問題点、独占禁止法、金融商品取引法、M&Aに関する問題点等について実務的観点から検討いたします。
本研究会の四半世紀以上にわたる実績を踏まえ、第30年度も本研究会の更なる充実を図りますので、これまで以上に多くの企業関係者のご参加をいただきたく、切にお願い申し上げるとともに、この研究会を続けることで会社法務につき企業関係者と私どもの実りある共同研究の場となることを祈念しております。
令和6年11月
会社法務実務研究会の一員として 弁護士 河和 哲雄 弁護士 蜂須 優二 弁護士 深山 徹