会社法務実務研究会28年度(令和4年)は、想定外に新型コロナウイルスの影響が拡大、長期化し、平常の状態に戻れない中、コロナ対策をしながら開催を続けることができました。また、コロナ禍の下におきましては、企業活動のあり方やバーチャル総会等株主総会の開催の模索、テレワーク等による働き方など様々な影響を受けることになりました。
会社法務実務研究会は、平成7年1月に、一般財団法人産業経理協会のご協力を得て発足いたし、無事開催を重ね、令和5年は29年目を迎えることになります。創立83年を迎えた伝統ある産業経理協会の歴史の中で、コロナ禍と闘いながらこの研究会が永く継続できましたことは、偏に皆様方の熱心なご支援のおかげと感謝しております。幸い毎年多くの会社のご参加をいただき、毎回私どもが研究している種々の問題点についての発表に際し、有益なご質問等をいただくことで貴重な問題点、関心の対象を知ることができ、大変有意義な研究会として継続できましたことに対し、深く感謝申し上げます。
さて、改正会社法が令和元年12月に成立し、その多くは既に実務にも影響を及ぼすとともに、またそれに加えて株主総会資料の電子提供制度に関する改正規定も施行となりました。令和5年の株主総会実務では、この電子提供制度が本格的に実施されます。また、コーポレートガバナンス・コード及び投資家と企業の対話ガイドラインの改訂も2021年6月に公表され、改訂コードにおいては、取締役会の機能発揮、企業の中核人材の多様性の確保、グループガバナンスの在り方等が重要視されており、特にプライム上場会社にとっては重要となりました。
29年度を迎える本研究会では、改正会社法、改訂コーポレートガバナンス・コードへの対応(2022年7月の経済産業省の「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)」の改訂も踏まえて)、買収防衛策の導入・廃止・条件付与問題等をはじめとするM&A全般における問題、そして、ガバナンス強化等のため期待される取締役会・委員会の役割をどのように考えるか、また、監査役会設置会社と監査等委員会設置会社のガバナンス等の問題、及び取締役の職務と責任(特に新任役員の心得・代表訴訟の問題等)について取り上げることといたしました。更に、例年同様、株主総会運営の実務対応、及び令和2年末に施行されました改正独禁法についての最近の実務動向及び金融商品取引法の近時の問題も取り上げます。
本研究会の四半世紀以上にわたる実績を踏まえ、29年度も本研究会の更なる充実を図りますので、これまで以上に多くの企業関係者のご参加をいただきたく、切にお願い申し上げるとともに、この研究会を続けることで会社法務につき企業関係者と私どもの実りある共同研究の場となることを祈念しております。
令和4年10月
会社法務実務研究会の一員として 弁護士 河和 哲雄 弁護士 蜂須 優二 弁護士 深山 徹