概 要
コロナ禍の1年が経過したところですが、現在においても世界的な感染拡大は収束する気配はなく、各国経済に深刻な影響を及ぼしています。日本国内においては、再度の緊急事態宣言が発出された影響もあって、倒産や解雇といった問題が浮上し、依然として景気の先行きには明るい見通しは立っておりません。とはいえ、このような状況にも拘らず2月15日には東京株式市場の日経平均株価が30年半ぶりに3万円を超え、バブル後最高値を記録しています。新型コロナウイルスワクチンへの期待やIT、自動車など好調な企業業績が株価を押し上げておりますが、その背景には金融緩和、低金利政策での資金の株式市場への流入によるものと思われ、実体経済との乖離が著しいこの株式市場の活況は、バブルではないかとする懸念も出始めているところです。また、感染拡大が止まらない現状は政権が犯した判断ミスとする向きもあり、今後も感染防止への取り組みへの遅れや7月に予定されているオリンピック開催の可否、そしして報じられているスキャンダル拡大如何では、政権の維持にも影響が出るものと思われます。
一方、世界の政治・経済に目を転じると大統領選挙で勝利をおさめバイデン新政権となった米国では、新型コロナウイルスの感染再拡大ではワクチン接種も進展しつつあることから景気回復に対する期待が高まっていますが、一方の中国経済は、2020年の国内総生産が初めて100兆元の大台を突破するなど安定的な回復を見せており、主要国の中で唯一のプラス成長を実現したものとみられ、今後の世界経済の回復において重要な役割を果たすことになりそうです。さらに、欧州経済においては、2021年に入っても多くの国でコロナ禍での活動制限が続いており、雇用・所得環境の悪化などから、コロナ以前の水準に回復するのは早くて22年後半となる見通しです。
今回もこうした国内の政治・経済の動向、アメリカ、中国を中心にグローバルリスクを念頭におきつつ、将来をいかに展望するかという問題意識のもと、多面的な捉え方が可能となるよう、適時最適任の講師をお招きし、皆様のご要望に沿うテーマ・内容を心掛けた企画・運営を進める所存でございます。何卒多数の皆様のご参加を賜りますようお待ち申し上げる次第でございます。