会社法務実務研究会27年度(令和3年)は、想定外に新型コロナウイルスの影響が拡大、長期化し、平常の状態に戻れない中、コロナ対策をしながら開催を続けることができました。また、コロナ禍の下におきましては、企業活動のあり方やバーチャル総会等株主総会の開催方法、テレワーク等による働き方など様々な影響を受けることになりました。
会社法務実務研究会は、平成7年1月に、一般財団法人産業経理協会のご協力を得て発足いたし、無事開催を重ね、令和4年は28年目を迎えることになります。産業経理協会は創立80年を迎えた伝統ある産業経理協会の歴史の中で、コロナ禍を克服して、この研究会が永く継続できましたことは、偏に皆様方の熱心なご支援のおかげと感謝しております。幸い毎年多くの会社のご参加をいただき、毎回私どもが研究している種々の問題点についての発表に際し、有益なご質問等をいただくことで貴重な問題点、関心の対象を知ることができ、大変有意義な研究会として継続できましたことに対し、深く感謝申し上げます。
さて、改正会社法が令和元年12月に成立し、株主総会資料の電子提供制度に関する改正規定を除き令和3年3月1日から施行され、それに伴う改正法務省令も施行されました。また、コーポレートガバナンス・コード及び投資家と企業の対話ガイドラインの改訂も本年6月に公表され、改訂コードにおいては、取締役会の機能発揮、企業の中核人材の多様性の確保、グループガバナンスの在り方等が重要視されております。
28年度を迎える本研究会では、改正会社法、改訂コーポレートガバナンス・コードへの対応(2022年の東証市場再編も踏まえ)、最近の敵対的買収に対する買収防衛策の導入問題等M&Aにおける問題、そして、ガバナンス強化等のため期待される社外取締役の役割をどのように考えるか、また、役員報酬制度についての対応、グループ企業運営の問題等について取り上げることといたしました。更に、例年同様、株主総会運営の実務対応、及び令和2年末に施行されました改正独禁法についての最近の実務動向及び金商法の近時の問題も取り上げます。
本研究会の四半世紀以上にわたる実績を踏まえ、28年度も本研究会の更なる充実を図りますので、これまで以上に多くの企業関係者のご参加をいただきたく、切にお願い申し上げるとともに、この研究会を続けることで会社法務につき企業関係者と私どもの実りある共同研究の場となることを祈念しております。
令和3年10月
会社法務実務研究会の一員として 弁護士 河和 哲雄 弁護士 榎本 峰夫 弁護士 蜂須 優二