令和2年は新型コロナウイルスの影響で当研究会も日程の変更等を余儀なくされ、変則的となりました。また、コロナ禍において、企業活動のあり方や株主総会の開催方法、テレワーク等による働き方など様々な影響を受けることになりました。
会社法務実務研究会は、平成7年1月に、一般財団法人産業経理協会のご協力を得て発足いたし、無事開催を重ね、令和3年は27年目を超えることになります。創立78年を迎える伝統ある産業経理協会の歴史の中で、この研究会が永く継続できましたことは、偏に皆様方の熱心なご支援のおかげと感謝しております。
幸い毎年多くの会社のご参加をいただき、毎回私どもが研究している種々の問題点についての発表に際し、有益なご質問等をいただくことで貴重な問題点、関心の対象を知ることができ、大変有意義な研究会として継続できましたことに対し、深く感謝申し上げます。
さて、令和元年改正会社法が成立し、株主総会資料の電子提供制度に関する改正規定を除き令和3年3月1日から施行され、それに伴う改正法務省令も施行されます。主な改正点は、株主総会に関する規律の見直し、取締役の報酬規定の改正、会社補償、業務執行の社外取締役への委託、社外取締役を置くことの義務付けなどの企業統治等に関する規律の見直し、社債の管理、株式交付制度の整備等です。また、「コーポレートガバナンス・コード」も令和3年に改正される予定となっております。
今回発足する第27年度では、多々存在する検討課題、すなわち、未だ終息を見ないコロナ禍における会社法の運営の問題や会社法の改正に伴う改正会社法下の株主総会の対応、役員報酬制度の在り方、取締役会運営への影響、社外取締役の活用、会社補償制度、株式交付制度等々、実務対応を迫られる事項を取り上げ、また、例年同様に株主総会運営の実務対応、さらには令和2年末に施行されます改正独禁法についての実務対応や金商法の近時の問題を取り上げることといたします。
本研究会の四半世紀以上にわたる実績を踏まえ、第27年度においても、本研究会の更なる充実を図って参りますので、これまで以上に多くの企業関係者のご参加を切にお願い申し上げるとともに、この研究会を会社法務に関する企業関係者と私どもの実りある共同研究の場となることを祈念しております。