概 要
新型コロナウイルス感染症の拡大は収束することなく全世界規模の問題に発展し、巷間では「ウィズ・コロナ」という言葉が広がるなど、非日常的状況が日常化する気配すら漂わせております。わが国においても、感染拡大の影響を受け、外出自粛、休業要請などでままならぬ状況の下で、経済活動が停滞し、企業業績を下方修正する上場企業が1000社に達するなど、深刻な状況を迎えております。そしてここにきて、無症状の感染者が急増している中で、Go To トラベル キャンペーンが強行され、感染者が全国規模で問題となっていることは沖縄県の惨状に象徴される通りです。このような状況下にあっても憲法53条に基づく野党による臨時国会召集に応じない政府の対応を見る限り、事態は放置され、経済の見通しも厳しい状況が続くものと思われます。
一方、世界の政治・経済に目を転じると、米国経済も同様にコロナ禍に伴い未曽有の落ち込みを示しており、今後の回復度合いによっては11月の大統領選挙の結果に大きく影響を与えるものと思われ、再選を目指すトランプ大統領の支持率も低下している様子です。また、中国経済においてはコロナウイルス禍による急激な収縮からの持ち直しがみられるものの、コロナ禍にある欧米の輸入需要の落ち込みによる輸出の低迷は避けられません。また、香港の中国化の今後の状況によっては、さらなる米中対立の悪化も予想されます。欧州経済においても2020年は歴史的な景気後退が起こるとし、EU27カ国の実質GDP成長率をマイナス7.4%と予想するなど厳しい状況にはあり、先日開催された首脳会議では協議の結果コロナ後の経済復興を目指し欧州復興基金を創設することで合意に達したことが伝えられております。事態は深刻です。
本講座については、緊急事態宣言とも重なり、年度前半の開催を見合わさざるを得ず、皆様には誠にご迷惑をおかけいたしましたが、今回はご着席の間隔の確保や換気などの会場設営にも留意し、上述のコロナ禍の下での国内の政治・経済の動向やグローバルな諸問題を取り上げながら、将来をいかに展望するかという問題意識のもと、多面的な捉え方が可能となるよう、適時最適任の講師をお招きし、皆様のご要望に沿うテーマ・内容を心掛けた企画・運営を進める所存でございます。何卒多数の皆様のご参加を賜りますようお待ち申し上げる次第でございます。