概 要
7月の参議院選挙では、自民党単独では議席を減らしてはいるものの、依然として「安倍1強」の下で政権運営は安定しているかに見えます。とはいえ、当初はメディアも絶賛した「アベノミクス」なる言葉自体が忘れ去られているように、戦後最長の景気回復とされながらもその実感は広まらず、しかも忖度によって捻じ曲げられたデータ偽装問題についても総括がなされたとは言えない状況にあります。また、最近では米中貿易摩擦の影響を受け円高・株安が進む傾向にあり、10月に予定されている消費税増税が消費支出に及ぼす影響などを考えると、とても楽観できる状況とは言えず、「アベノミクス」の目玉とされた金融政策、すなわち日銀による金融政策については、大規模な金融緩和の実施、その後の追加緩和、マイナス金利導入の実施を推し進める一方で、出口を探る気配すらありません。これでは金融危機が発生した際に打つ手はありません。
一方、世界の政治・経済も厚い雲に覆われています。米国経済は個人消費に支えられて堅調さを保ってはいますが、その反面、米中貿易戦争の先行きが見通せず、中国経済においても投資抑制策の影響、内需回復の遅れや米国による関税引き上げによる外需の低迷により、今後は低水準の成長に移行するものと思われ、そうなれば世界経済に及ぼす影響も大きいものがあります。さらに、10月末までに再延期された英国のブレグジット交渉の結末が「合意なき離脱」となりかねないリスクや、戦後最悪の関係悪化となった日韓関係の動向にも注目が必要となります。
今回もこうした国内の政治・経済の動向、アメリカ、中国を中心としたグローバルリスクを念頭におきつつ、いかに現状を正確に把握するか、いかに将来を展望するかという問題意識のもと、多面的な捉え方が可能となるよう、適時最適任の講師をお招きし、皆様のご要望に沿うテーマ・内容を心掛けた企画・運営を進める所存でございます。何卒多数の皆様のご参加を賜りますようお待ち申し上げる次第でございます。